神道・神社コラム

見猿・聞か猿・言わ猿とは何?【もっと日本一問一答】

見猿・聞か猿・言わ猿とは何?【もっと日本一問一答】

もっと日本・一問一答です!

神道・古事記・神社、こういった日本に伝わるものを知らない方のために、日本の疑問に思っていることにお答えしていきたいと思います。

では今日の質問は何でしょうか?

◉日光東照宮といえば見猿・聞か猿・言わ猿、それしか知らなかったんですがあの彫刻にはストーリーが繋がっていると聞いてもっと詳しく教えていただけたら

 

日光東照宮といえば見猿・聞か猿・言わ猿が非常に有名で、そこばかりクローズアップされていますが、あそこには8つの彫刻があるんですね。16匹の猿が描かれていますね。お母さんが子供を抱いている彫刻、お母さんが子供の未来を見ている。そこから始まって見猿・聞か猿・言わ猿。これ実は処世術なんですね。世の中に出て世間のことを見ない聞かない言わない、それが大事であるという。そしていよいよ独り立ちをしようとする、その時に青雲の志ですね。その次に挫折があって、友達が励ましてくれるその姿。そして恋に落ちる。二人は荒波に揉まれる。子を授かり親のありがたみを知る。こういうストーリーですね。

見猿・聞か猿・言わ猿が非常に有名なんですが、実はもう一つあるって知ってますか?

◉もう一つですか?

 

これは一番難しいとされています。それは「思わざる」です。

◉思わざる

 

そうです。人間は「思う」じゃないですか?嫌なことがあったら嫌な気分になるし、悲しくなったり悔しくなったり怒ったり苦しんだりする。これって「思って」しまうから。見ない・聞かない・言わない、これは人間の意思によって止められます

◉そうですね

 

ところがこの「思う」というのは止められない。

◉止められないですね

 

これをどう感じるかというと、人間は自然の真理の一部なんです。人間が持っている意思と自然の真理が上手く合わさって物事は上手くいくということです。ですから

「思った」ことを言わない。

「思った」ことを聞かない。

「思った」ものを見ない。

その「思う」ということは「悪い」ことです。この怒り・苦しみ・悲しみ・憂い・恐れというこの感情を穢れ」と言いますね。ですから穢れとは「気が枯れる」とも言います。そして穢れると人は病気になります。病気も「気の病い」と書きますよね。

この病気になる兆しというものもあります。この兆しに気づけば病気になることもありません。何でしょうか?それこそ怒り・苦しみ・悲しみ・憂い・恐れというネガティブな感情です。

◉そうなんですね

 

このネガティブな感情を抱いているのであれば自ら病気を招いているということになるんです。

この悪いことを「思わない」ということは難しい。これを口に出した瞬間に言霊となる。無意識に感じるでしょう?この無意識から意識に変換するのは言葉なんです。

◉そうですね

 

そしてその言葉が意識に影響を与え、意識が行動に影響を与えて、行動が結果に影響を与える、この結果を神というんです。この言霊が悪い言葉によって作られた神は悪霊です。これが良い言葉だったら善霊です。つまり悪霊を作るのも善霊を作るのも自分の言葉次第。

この「思わない」というのは非常に難しいです。この「思わない」というところにたどり着いた人がいます。それはブッダです。この怒り・苦しみ・悲しみ・憂い・恐れというこの感情が無い状態、心穏やかな状態を「悟りの境地」と言うんですね。

私たちは凡人だからどうしても「思って」しまう、そういうネガティブな感情を抱いてしまいます。抱いてしまうのは仕方ない、なぜなら真理だから。人の意思ではどうにもならない。ただ人の意思でどうにかなるのが「言葉」なんです。思ったことをどんな言葉を使うかによって私たちの人生が決まっていくんですよ、ということをこの「思わ猿」をちゃんと理解して無意識を意識に変換して言葉を選ぶことが大事なんですね。

◉すごく深いです。私たちの言葉が自分の世界を作る、言葉遣いは大事なんだなと思いました。