神道・神社コラム
疫病は人類に問いかけている
◉お祓いの起源
京都で行われている祇園祭。
祭りのほとんどは秋に行われるのに、祇園祭は夏。
秋に行われるのに祭りのほとんどは五穀豊穣への感謝の祭り。
神様を神輿に乗せて、街を見て頂く為に行う。
では、夏にある祇園祭は何のための祭りなのか？
そもそも、神様を祀るから祭りと呼び、神様がいない祭りのことをフェスティバルやイベントと呼ぶ。
従って神様のいないものを祭りと言ってはいけない。
話は戻るが、祇園祭は7月に行われる。
7月と言えばどんな季節なのか？
それは、梅雨。
つまり、一番疫病が発生しやすい季節である。
その昔、この季節に多くの疫病が発生した。
民は神様の祟りだと神様の魂を鎮めるための鎮魂祭を行う様になった。
その魂を鎮める神様がスサノオ。
実は夏越しの祓の茅の輪はスサノオがもたらしたものなのです。
◉ある旅人の話
その昔、ある旅人が兄弟の家を訪ねます。
兄である蘇民将来と弟の巨旦将来。
弟の巨旦将来は裕福で金持ち。
一方、兄の蘇民将来は貧しかった。
その旅人は宿を借りに弟の巨旦将来の家を訪ねるが断られる。
その後、蘇民将来の家を訪ねると貧しい中、手厚くもてなした。
その後、旅人は再訪して巨旦将来に茅の輪を渡す。
『この輪をつけていれば疫病が流行っても救われる』
そして、疫病が猛威を振るった。
巨旦将来の一族は娘を残して全滅。
蘇民将来の一族は誰一人亡くなることはなかった。
その茅の輪がその後、夏越しの祓の茅の輪になった。
また、蘇民将来子孫家門の将と門を取って将門。
これが、【笑門】に変化している。
笑う門には福来たる。
◉茅の輪を潜る
今回のコロナウイルスの鎮静を願って、現在京都の八坂神社では茅の輪を設置している。
だから、この茅の輪をくくればコロナウイルスにかからないと言うことではない。
そもそも、なぜコロナウイルスが起きたのか？
それは人類が傲慢だからである。
私自身も含め私利私欲で自分のことしか考えなくなった人類に対してコロナウイルスの私利私欲が戦いを挑んできた。
この戦いに心を奪われると、本質が見えなくなる。
この戦いに打ち勝つことも大切だが、もっと本質的なことに目を向け、人類は反省しなければならない。
つまり、自分に罪があることを自覚する事が大切である。
それを【禊】と言う。
◉人類は穢れている
人は生きていれば知らず知らずのうちに罪穢れを背負う。
つまり、誰でも穢れているのである。私ですらそうである。
では、穢れとはなんなのか？
それは【怒・苦・憂・悲・恐】と言った感情。
この様に【穢れ】とは【気が枯れる】ことで起こる。
今回のコロナウイルスによって、この様な感情になっていませんか？
それは、問題に心奪われ、素直に反省していない証拠です。
つまり、穢れているのです。
先ずは、自分は穢れている。
この自覚を持つこと。
その為には【素直】になること。
私達の霊は元々真っ直ぐして産まれました。
その真っ直ぐした霊の事を【直霊】と呼ぶのです。
しかし【怒・苦・憂・悲・恐】と言った感情になると、心はねじ曲がり、常に被害者意識になり、誰かのせいにして攻めたくなります。
その姿こそ【穢れ】なのです。
◉本質を知る
茅の輪を潜る様な神頼みはダメだ！
神様は現世利益は与えない！
そんな事を言う人がいますが、本質は違うところにあります。
だからこそ、本質を伝える必要があります。
コロナウイルスは人類に問いかけているのです。
自然は人類だけのものではない。
お前たちは神になったつもりか！
小さいから、弱いからと言って、舐めてかかると痛い目に合うぞ！
人類よ、反省するが良い！
それでも足りないなら、さらなる災いを起こすぞ！
思い知るが良い。
これが、自然界の意思です。
問題は課題に取り組まなかった結果。
問題を解決しても課題に取り組まなければ、また同じ事が起きるのです。
これをブッタは【縁起】と言いました。
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