八百万の神大図鑑

いななきといざなみ

伊耶那岐命イザナキノミコト

【分かりやすい動画で解説】

 

【愛がもたらした代償と闘った神】

イザナキとイザナミは、天地開闢の最後に、ようやく産まれた「神代七代(かみのよななよ)」のうちの二人。
それ以前の神様は、男女の区別がない一人神(ひとりがみ)であったが、イザナミは男神、イザナキは女神である。
イザナキの「キ」と、イザナミの「ミ」で「君(きみ)」となる。「君」とは、男と女という意味がある。
またイザナは「誘う(いざなう)」の語源であり、誘い合う男と女を、意味する言葉が生まれ、ここから「愛」が誕生した。
それまでの神は永遠であったが、この二人により「愛」が生まれ、その代償として「死」を受け入れたのである。
あたりまえだが「愛」とは「死」をも超える存在なのである。交配することで、より優秀な子孫を残し新陳代謝が活発に行われるようになった。
それはまるで、単細胞生物から多細胞生物に進化した過程と全く同じであるる。
その二人の物語が『日本書紀』で次のように描かれている。
イザナキは、国産み・髪産みにおいて、イザナミとの間に、日本国土を形作る多くの子を儲ける。
妻が日の神であるカグツチを産んだ際、それが原因で死に至り黄泉の国へ逝ってしまう。
イザナキは悲しみと怒りのあまりに、その子カグツチを殺してしまう。
それでも、妻が死んだことを受け入れがたなかったイザナミは、黄泉の国まで迎えに行く決心をする。
妻がいる、大きな小屋まで辿り着くと自分のもとへ戻ってくるよう声をかけた。
彼女は「こちらの食べ物を食べたからもう戻れない」と答えた。しかし、どうしてもイザナキは諦められない。
それでもなんとか戻ってきてほしい。
どうしても一緒に居たい。
すると彼女から「それではこちら側の神様に、すこし相談するからしばらく待っていてほしい。
その間、決して中を覗かないと約束してほしい」と頼まれた。言われた通りにしばらく待っていたイザナキは、一向に戻ってくる気配がないのが心配になり、心変わりしたのではないかと不安に襲われ、こそそり約束を破って中をちらっと覗いてしまったのである。
すると、そこには腐敗し、イザナミは体中にウジが湧いている変わり果てた妻の姿があったのである。
その姿を見るなり、イザナキは慌てて逃げだしてしまう。
約束を破ったことに激怒した彼女は、悪魔を放ち、イザナキを追いかける。
一方のイザナキも悪魔をやっつけるため、髪飾りから生まれた葡萄、櫛から生まれた筍、黄泉の境に生えていた桃の実を投げて抵抗し、難を逃れる。
最終的には、妻自ら追いかけてきたが、黄泉の国の出口を大岩で塞ぎ「お前とは離縁する」と言い放ったのである。
この時のイザナミには、彼女の傷心の気持ちを、察っすするほどの心の余裕はなかった。
それよりも、あんなに美しかった妻の変わり果てた姿と、鬼のような形相に怖気づき、愛も一瞬で覚めてしまったのである。
彼女は、一番最初こうなることを予測して約束しておいたにも関わらず、その約束を破り、自分を正当化しようとするイザナキに激怒し、「お前の国の人間を1日10000人殺してやる」と叫んだ。
イザナキは「それならば、私は1日15000人産んでやる」と言い返したのである。
死ぬほど愛し合っていた二人の愛は、こうして呆気なく終焉を迎える。
「愛」を選び「死」を、うまく受け入れたにもかかわらず、脆く儚い愛である。
ボタンの掛け違いから始まり、縺れた糸はもう二度と、もとに戻ることはなかった。
愛は深ければ深いほど良いけれども、深いが故に疑り深くなり、つまらぬ問題を引き起こすものである。神と言えども同じである。

【和魂】新たな誕生『アイディアが生まれる時』

あなたが思い浮かべるアイディアが形になる時です。
その為には、先ず行動に移して下さい。
それを支援がする人が現れます。
失敗しても修正できます。
その揺るぎない絆で次から次へと形が整います。

【荒魂】誤解を解く『誤解しているかもしれません』

自分が正しいと思うばかりに、相手の事が見えなくなっていませんか?
ちょっとした言動や言葉や態度を疑い、五階が生じているかもしれません。
一つのボタンの掛け違いから、思わぬ方向に進むかもしれません。
今は慎重になり、言で伝えることを意識してみてください。
コミニケーションを取ることで、誤解を解き、問題を覆ることが出来るでしょう。

【神格】

宇宙根源の神、人類起源の神、結婚の神、国堅めの神、生命の祖神

【御利益】

必勝祈願、出世開運、商売繁盛、金井安全、縁結び、夫婦円満、安産・子育て、無病息災・病気平癒、厄除け、延命長寿、豊作・大漁

【別称】

伊邪那岐神、伊弉諾尊、熊野神、田賀神

【系譜】

高天原の神、神を産んだ神、神代七代の最初の神

【祀られている神社】

・伊弉諾神宮(広島県淡路市多賀)
・おのころ島神社(香川県あわじ市)
・多賀大社(多賀県犬神郡多賀町)
・江田神社(宮崎市阿波岐原町)
・筑波山神社(茨城県津久葉市筑波)
・沙太神社(島根県松江市)
・三峰神社(埼玉県さいたま市三峰)
・英彦山神宮(福岡県田川郡田川市英彦山)
・白山比め神社(石川県白山市白山一町)
・玉木神社(奈良県吉野津町川村)
・雄山神社(富山県大中新川郡立山町)
・丹生川上神社(上社) (奈良県天理市大村)