八百万の神大図鑑

建御雷之男神タケミカヅチノオカミ

【分かりやすく動画で解説】

【武力に頼らない徳の武神】

イザナミに火傷を負わせたホノカグツチが、イザナミの怒りをかい、剣で切られたその剣の血が岩について産まれた神様が、タケミカヅチである。
国譲りの際、アマテラスの支社としてオオクニヌシと交渉をした神様でもある。ホノカグツチは火の神。
タケミカヅチは雷の神であり、地震の神、地震を引き起こすオオナマズの頭を踏みつけ、地震を制御する役割も担っている。
さらには、剣の神でもある。
とうぜんであるがタケミカヅチは、最も強い武神としても知られているのである。
国譲りの際、アマテラスが何人もの使者を出すが、ことごとく言いくるめられ、最後に使わせたのがタケミカヅチ。
オオクニヌシが国譲りの交渉をする際、次のようなアメノウズメの言葉を伝えた。
「汝ウシハクこの国が、我が御子のシラス国ぞとアマテラスが仰せである」。
「ウシハク」とは争うことによって国を治めること。
そうすると、民衆が強者の所有物になってしまう。
タケミカヅチは、これからは「シラス国」だと言ったのである。
民衆が主役となる慈愛で満ちた国を作るのだ、と。
これまで稚拙な術でことごとく仲間に引き込んだオオクニヌシが、この言葉を聞くと「では、私の息子たちに訊いてくれ」と言うのである。
始めに息子の一人コトシロヌシ(事代神主)と話したのである。
「そういうことであれば、わかりました」と交渉をすんなり受け入れる態勢をとるのである。
それを聞いていたもう一人の息子タケミカヅチは、「どうして国を譲らないとならないのか」とタケミカヅチに抵抗した。
それを、力くらべで決めることになった。
互いに組み合うタケミカヅチとタケミナカタ。
これが、いわゆる相撲の始まりであり、出雲が相撲の発症の地である。
互いに組み合うが、タケミナカタの圧倒的な力にタケミカヅチは手も足も出なかった。
とうぜんであるがその結果はタケミカヅチになり、国譲りの交渉は成立した。
タケミカヅチは、日本神話最強にして最高の武神と言われているが、同時に正儀の神とも言えよう。
その武力のみに頼るのではなく、忠義に従い、アメテラスから言い渡された言葉をしっかりと伝え、交渉し、それでも交渉が滞った時には、剣を使わず力くらべで解決する。
もし、ここで武力にとって国を奪ったならば、それは「ウシハク」の国づくりと何も変わらないのである。タケミカヅチは、そのことよく分かっていた。
そんな戦いだけではなく徳を備えた群臣が雷の神タケミカヅチで最強の神ある。
また、平和を望むオオクニヌシはそもそも争いを嫌う神様であったが、争いを好む兄たちの抵抗により打撃を受けて武力を行使しなければならなくなっていたと考えるのである。
そこで、同じ理想を持つ高天原(天界)の神の提案を受け入れたのである。

【和魂】交渉成立 『力に頼らず交渉する』

あなたがこれまで一番取り組んで来た事を思い出さしてください。
その為に数え切れない努力をして来ました。
その努力は、腕力や権力を使うことなく事を収める、最強の交渉力として発揮できるでしょう。

【荒魂】正義 『和合・人を活かす時です』

自分を過信し、力で相手を押さえ込もうとしていませんか?
正義を振りかざす事は、同時に相手を比定する事にも繋がります。
周りが見えなくなっているかもしれません。
相手を打ち負かすよりも、和合することが大切です。

【神格】

安産、武神、軍神、剣神、雷神

【御利益】

必勝祈願、出世、武道守護、殖産興業、国家鎮護、芸能上達、豊漁、航海安全、安産、病気平癒、厄除け、縁結び、延命長寿、交通安全

【別称】

武甕之槌命(たけみかづちのみこと)、加島神(かしまのかみ)、鹿島様(かしまさま)、建御大雷之男神(たけみかづちのおのかみ)、布都御幸魂神(ふつのみたまのかみ)、建夫都神(たけふつ)、豊夫都神(とよふつ)

【系譜】

火の神カグツチの剣から生まれた神。藤原氏の祖神としても知られています。

【祀られている神社】

・鹿島神宮(茨城県加島市宮中)
・香取神宮(千葉県佳良市粕野町)
・石上神宮(奈良県天理市布留町布留山)
・真上神社(山形県男賀市)
・古大王神社(岩手県寺内字児桜)
・志波彦神社(宮城県塩竈市一森山1-1)
・塩鎌神社(宮城県千台市一森山)
・椋神社(埼玉県さいたま市下吉田)
・原野神社(京都市西京区大原野南春日町)
・吉川神社(京都市左京区吉田神楽岡町)
・枚菊神社(大阪府大阪市出雲井町)