古事記オンライン講座

建御名方神たけみなかたのかみの反抗

事代主神ことしろぬしのかみを平伏させた建御雷神たけみかづちのかみは、その後大国主神おおくにぬしのかみと再び対峙し「そなたの子である事代主神ことしろぬしのかみは国を譲ると申し出たが、他に意見を聞くべき子はいるか」と尋ねる。
すると大国主神おおくにぬしのかみが「まだもう一人、私の子に建御名方神たけみなかたのかみがおり、それ以外はおりません」と言った直後に建御名方神たけみなかたのかみが大きな岩を軽々と持ち上げながら伊那佐いなさの浜にやって来たのである。
建御名方神たけみなかたのかみ建御雷神たけみかづちのかみの前に立つと「我が国に来て、この国を乗っ取ろうとコソコソと企んでいるのはお前だな」と言って大きな手で建御雷神たけみかづちのかみの手を掴み、力比べをしようと挑みかかった。

建御名方神たけみなかたのかみ建御雷神たけみかづちのかみの手を掴み、握り潰そうとすると、なんと建御雷神たけみかづちのかみの手が冷たい氷柱に変化した。
建御名方神たけみなかたのかみは驚いたが、負けてなるものかと更に力を込め握りしめた。だが次の瞬間建御雷神たけみかづちのかみの手が氷柱から剣に変化し、これには流石の建御名方神たけみなかたのかみも力ではどうにもならないと恐れをなして引き下がった。
今度は逆に建御雷神たけみかづちのかみの方から手を取ろうと申し出て、建御名方神たけみなかたのかみの腕を取るや、葦を掴むように握り潰すと投げ飛ばした。巨体を軽々と投げ飛ばされて、これは全く敵わぬと建御名方神たけみなかたのかみが逃げ出すと、建御雷神たけみかづちのかみはその後を追いかけ諏訪で追い詰めた。
建御名方神たけみなかたのかみは命乞いをし、諏訪の地から出ないことを約束し、国を差し出す事を決めたのであった。