古事記オンライン講座
天照大御神の神勅
天照大御神は天瓊瓊杵命に三種の神器(八尺瓊勾玉、八咫鏡、草薙剣)を渡し天児屋命、布刀玉命、伊斯許理度売命、玉祖命、天宇受売命の五柱の天岩戸の時に活躍した神々と思兼神、天手力男命、天石門別神を共に副えて猿田毘古神の先導により一行を天降らせることにした。
そして天照大御神は八咫鏡を渡すときに「この鏡を私と同じように祀り、この鏡に自らの姿を写し、そこに我が写ったなら取り払いなさい。思兼神は祭事に関することを取り扱い、政を執り行いなさい」と神勅を告げた。そして天照大御神は伊勢神宮の内宮に、豊受大神は外宮に現在も祀られている。
天石門別神は別名櫛石窓神、豊石窓神と言う。この神は天皇の宮殿の四方門に祀られていた守護神である。天手力男命は伊勢国の多気郡の佐那神社(三重県多気郡多気町)に鎮座している。
天児屋命は中臣連の祖先で、藤原氏の祖神にあたり、布刀玉命は忌部首の祖先となった。天宇受売命は猿女君の祖先に、伊斯許理度売命は鏡作連の、玉祖命は玉祖連の祖先となったという。
また天照大御神は天瓊瓊杵命に対して「この豊葦原水穂国は、汝が知らさむ国ぞ。したがって命令のとおりに天降りなさい」と神勅を授けた。これは我が国統治に関する神勅で日本書紀においては「天壌無窮の神勅」と言われる。御鏡を授けた際の神勅を「宝鏡奉斎の神勅」、稲穂を授けた際に伝えたものを「斎庭稲穂の神勅」といい日本の理念を表す三大神勅として現在も重要視されている。
天瓊瓊杵命が高天原を離れ、八重にたなびく雲を押し分け天浮橋にある浮島に立ち、そこから筑紫の日向の高千穂のくじふる嶺に降り立った。
その時に天忍日命と天津久米命が太刀と弓矢を持って仕えに来ると、素晴らしい土地に感動した天瓊瓊杵命が「この地は韓國に向かい、笠沙岬にまっすぐに道が通じて、朝日が照り輝き、夕日も照り輝くこの地はとても良い所だ」と言って、地下まで大きな柱を立て、天に千木を高くそびえさせて大きな宮殿を建てた。