古事記オンライン講座

事代主神ことしろぬしのかみの服従

天照大御神あまてらすおおみかみ天鳥船神あめのとりふねのかみを共に付けさて建御雷神たけみかづちのかみ葦原中国あしはらなかつくにに派遣することにした。そして二神は出雲の伊那佐いなさの浜に降り立つ。まず建御雷神たけみかづちのかみは剣を抜いて束を波に刺し立て、剣の切っ先にあぐらいをかいて座ると大国主神おおくにぬしのかみと対峙し「私はこの地に天照大御神あまてらすおおみかみの意向で遣わされた。あなたが領有する国は、我が天の御子の治めるべき国である」と国を譲るように迫った。
大国主神おおくにぬしのかみ建御雷神たけみかづちのかみに国譲りを迫られたが、「私はお答えできません、私の子である事代主神ことしろぬしのかみが代わりに答えましょう」と言い後継者の事代主神ことしろぬしのかみの居場所を伝えた。

事代主神ことしろぬしのかみの居場所を聞いた建御雷神たけみかづちのかみは直ちに天鳥船神あめのとりふねのかみを遣わせる。
美保の岬に居た事代主神ことしろぬしのかみ天鳥船神あめのとりふねのかみに連れられて伊那佐いなさの浜にやって来ると、「恐れ多い事でございます。この葦原中国あしはらなかつくにの統治は天津神あまつかみのご子孫に奉りましょう」と言い、乗って来た船を踏み傾けて、天逆手あまのさかて(呪術的な動作の柏手)という柏手をし、船を青い柴垣に変化させて、その柴垣の中に隠れてしまう。
こうして事代主神ことしろぬしのかみは父である大国主神おおくにぬしのかみの真意を理解して、あっさりと国を譲ってしまったのである。