19. 天孫降臨てんせんこうりん猿田毘古神さるたひこのかみ

高天原たかまがはら建御雷神たけみかづちのかみより葦原中国あしはらなかつくに平定の報せが届くと、天照大御神あまてらすおおみかみは地上に統治者を派遣する運びとなった。そこでまず統治者として天忍穂耳命あめのおしほみみのみことに命令が下った。
これに対し天忍穂耳命あめのおしほみみのみことは「私よりも我が子の天瓊瓊杵命あめのににぎのみことを任命するのがふさわしいかと思います」と申し出たので、代わりに天瓊瓊杵命あめのににぎのみことが派遣される事となり、「この地豊葦原とよあしはら水穂国みずほのくには、あなたが治めるべき国である」と天瓊瓊杵命あめのににぎのみことが委任を受けた。
天瓊瓊杵命あめのににぎのみこと一行が神々を率い降臨する途中で、天八衢あまのやちまたという分かれ道にさしかかった時、高天原たかまがはら葦原中国あしはらなかつくにを照らす神が現れた。天照大御神あまてらすおおみかみ天宇受売命あめのうずめのみことに「あなたは女だが、気おくれしない女神です。あの道を照らす神の名を尋ねなさい」と言うと天宇受売命あめのうずめのみことは早速その神に名を尋ねた。

「我は国津神の猿田毘古神さるたひこのかみであります。我が此処にいるのは天津神が地上に降るとお聞きしたので、先導の為にお迎えに上がったところでございます」と応えた。
こうして猿田毘古神さるたひこのかみの名を明かした功績により、天宇受売命あめのうずめのみこと猿田毘古神さるたひこのかみに仕えて猿女君さるめのきみと呼ばれるようになったと言う。
また一説には二神は夫婦になったともいい、村境や道路の分岐点に立てられる道祖神は猿田毘古神さるたひこのかみ天宇受売命あめのうずめのみことであるとされる。
その後天宇受売命あめのうずめのみこと猿田毘古神さるたひこのかみの故郷である伊勢国へ二人で行くことになった。そして伊勢の海で天宇受売命あめのうずめのみことは、海に棲む生物を呼び集めて神の御子に仕えるか尋ねるとナマコだけは返事をしなかった。すると天宇受売命あめのうずめのみことは、「何も返事をしない口はこうしてあげよう」と、持っていた小刀を出して、ナマコの口を切り裂いてしまった。このことによりナマコは今に至るまで口が横に裂けていると言われる。




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