神道・神社コラム
日本の理念、五大神勅とは?
【五大神勅とは?】
今日は我が国日本がなぜ世界で一番長く続く国になったのか、その根底にある【日本の理念】について話したいと思います。
皆様は我が国日本がどの様にして出来たのか知っていますか?
その物語が日本書記の中で紹介されています。
また、令和2年は日本書紀編纂1300年に当たります。
益々、日本の原点を振り返る良い機会に巡り合っています。
では、日本の理念について解説します。
この理念が登場するのは日本書紀の中に登場します。
【斎庭稲穂の神勅】
アマテラスの命で葦原中国(地上)に降り立つアマテラスの孫、ニニギノミコトに告げた言葉こそ日本の理念なのです。
アマテラスは貧しい地上を見て、ニニギに稲を渡します。
この稲を育てる事、地上を豊かにしなさいと告げます。
つまり【経済】です。
これがひとつめの理念
◉斎庭稲穂の神勅と言います。
【宝鏡奉斎の神勅】
さらにアマテラスはニニギにこう告げます。
三種の神器のひとつである八咫鏡を渡して、
この鏡を私だと思って毎日自分の姿を映しなさい。そこに民を苦しめる様な自我があったなら取り除きなさい。
だから、神社や神棚には鏡があるのです。
【鏡】
【かがみ】から【が】を取れば【かみ】となる。
つまり教育です。
◉宝鏡奉斎の神勅と言います。
【天壌無窮の神勅】
そして、最後に
あなたはこの国の君主である自覚を持ちなさいと告げる。
これは政治です。
◉天壌無窮の神勅と言います。
これを合わせて三大神勅と呼びます。
【神籬磐境の神勅】
これに加えてタカミムスヒが告げたふたつの神勅があります。
我が息子、アメノコヤネ、フトタマ二告ぐ。稲が繁栄しそうな場所を見つけ、君主が降臨する磐座と神の依代である樹木を立て、君主を迎えなさい。
◉神籬磐境の神勅 (ひもろぎいわさか)
【侍殿防護の神勅】
願わくば息子二柱に告ぐ、同じ社にて君主の側でお守りし仕えよ。
願(ねが)はくは、爾(いまし)二神(ふたはしらのかみ)、また同じく殿(みあらか)の内に侍(さぶら)ひて、善く防ぎ護ることをなせ。
◉侍殿防護の神勅 (じでんぼうご)
【まとめ】
ここで面白いのが、タカミムスヒは2人の息子に命令したのではなく、お願いしたという事です。
2人の息子のアメノコヤネは中臣氏の祖先とフトダマは忌部氏の祖先。
つまり、天皇は神の子孫であり、徳を示すもので、武力によって国を治めるものではない。
しかし、その理想はスサノオが傍若無人に暴れた時に庇うばかりで何も出来ませんでした。
そこで、権威と権力に分ける事で、バランスを考えたと考えられます。
実はここにその時代の背景が伺えます。
古事記の編纂を命じたのは天武天皇。
しかし、天武天皇は古事記が出来上がる前に亡くなります。
実質、古事記・日本書紀に携わったのは天武天皇の皇后だった持統天皇だと言えます。
天武天皇亡き後、天皇に即位したのが持統天皇
持統天皇はまだ幼かった孫である文武天皇を守るために藤原不比等の娘を文武天皇の夫人になり、政治を中臣氏(藤原)に任せ、権威と権力を分けた天皇だと言われています。つまり、命令ではなく、お願いしたのはこの辺りの気遣いがあったのではないのでしょうか?
この結果、中臣から藤原に改め、藤原1000年の歴史が始まったのです。
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